山と、トイレと、私。
登山と切り離せないのが、そう、トイレ。普段ならどこにでもあるが、山では、したい!と思った時にそこにあるとは限らない。
どんな状況でも、便意と尿意は残酷にも訪れます。
本当の緊急時には、山道から外れた屋外でしてしまうこともやむ得ないと思いますが、当該行為は軽犯罪法に違反するので、やらないに越したことはありません。
聞こえてますか?1年生のI君??
そして、基本的には山小屋に併設されているものをお借りすることが多いのですが、小屋に対してチップとして百円支払うことが多いです。設備維持費を支払うという点において、考えてみれば当然ですね。
下界のコンビニやスーパーでは無料じゃん!と思う方といらっしゃるかもしれませんが、店内のトイレはあくまでお客様のためのもの。買い物をしてくれた、もしくはする予定のお客様に、補助サービスとして提供しているに過ぎません。
公衆のものは、国が税金から設備維持費を支払っているので無料です。
誰かが設置して品質を維持しているものには、必ずお金がかかっています。
そして、使用したトイレットペーパーは、併設されているゴミ箱に捨てる、というケースが多いです。
山のトイレを判断する上での基準としては
・和式/洋式
・バイオシステムを採用/否
・トイレットペーパーがある/ない
が大きく挙げられます。
1、和式/洋式について
双方のメリットを考えてみました。
和式
・衛生面において、尻を便座に密着させることがないので、接触感染にかかるような病気の対策になる。
・表面積が少ないため、便座の陶器が割れる心配が洋式に比べて少ない(管理面において)
・事後、長時間占拠される心配が少ない。(座って一息、というものではない)
洋式
・座れる(ポジショニングに不安がない)
・ズボンを下ろしやすい
・便を外す心配がない
・落ち着く
和式においては、主に管理者の立場に立った上でのメリットが大きく目立ちます。
洋式については、言わずもがな、普段使っている感覚通りに使用できるという点が魅力的です。
僕の経験上、山には和式便所の方が多いように見受けられます。
また、和式のメリットは洋式のデメリット、洋式のメリットは和式のデメリットでもあります。
特に、和式においては、大きい靴を履いてズボンを履き、場合によってはその上にレインウェアも着ている状態だと、アクションにおいて高度な技術を要します。
また、体の状態が不安定だと、モノを出し切るという観点からも問題が生じることは想像に易いでしょう。
対策としては
・日頃から慣れておく
・体幹を鍛える
・片足のズボンを脱ぐ
などが挙げられます。
総務省のデータによると、一般家庭における洋式トイレの保有率は89.6%(H20時点。現在ではもっと高いだろう)となっており、日常から和式便所が減ってきています。
(http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2008/nihon/2_5.html 総務省ホームページ)
また、学校や駅構内、コンビニやスーパーでも洋式便所を多く見かけますし、そもそもトイレに入る際に和式である可能性が無意識のうちに排除されてつつあるのではないでしょうか。
山は日常と隔離されている空間です。日頃から意識しておくことが大切でしょう。
2、バイオシステム
(https://mikalet.jp/column/20161229161026/ 株式会社ミカサ ホームページ)
この説明によると、バイオトイレとは
「水を使わず、人の排泄物を 微生物(バイオ)の力で分解・処理 する」トイレです。
バイオトイレのメリットは、においです。
臭くない!
本当に臭くないんです。アンモニア臭も、大便のにおいも、ハエも全然いない。
これを発明してくれた方、設置してくれている山小屋さんに対しては足を向けて寝られません。1日5回礼拝したいくらいです。
もっと普及してくれたら良いのに....
3、トイレットペーパー
これも、山小屋の方のご厚意で置いてくださっているケースが多いですが、時々無いことがあるので注意してください。
その場合、入り口に「トイレットペーパーはありません」という注意書きが貼られていることが多いので、ポケットティッシュ等を持参するのが良いでしょう。
拭かないでそのまま、というのはオススメしません。数少ない下着やズボンをダメにする可能性がありますし、尻がめちゃくちゃ痒くなります。病気にもなりかねません。
ここまで色々と御託を並べてきましたが、山の上で便意を催すシチュエーションにおいて、品質を選んでいる余裕はまずありません。
山の公衆衛生が維持されているのは、ひとえに山小屋の方々のお陰です。
それを頭の片隅にでも入れて置いて欲しいと思っております。
山行の際の参考になれば幸いです。
(これは、「山行」と「参考」という読み方が同じ単語を2つ文章に入れる、という駄洒落です)
では、良い御手洗イフを。
(これは、御手洗いとライフを掛け合わせた、非常に高度な駄洒落です)
おまけ
下の画像は、個人山行で訪れた某小屋の男子小便所です。
壁に向かってかけるというストロングスタイル。案の定、匂いはどぎつく、ハエもたかっていました。